能登七尾出身で、桃山画壇に大きな足跡を残した絵師・長谷川等伯(1539~1610)。彼はその生涯で数多くの作品を制作、それらは現在も80点以上が京都を中心に北陸地方など各所に遺されています。
当館にとって、郷里が生んだ巨匠・等伯は重要なテーマであることから、平成8年より「長谷川等伯展」をシリーズで開催し、これまで等伯や関連の作品や資料を紹介してきました。そして当館「開館20周年」であった昨年はその記念として、等伯の代表作である国宝「楓図壁貼付」(京都市・智積院蔵)の特別出品を中心に、若年期から60歳頃までの作品を展示しました。
21回目の開催となる今年は、前回に続いてという形で「等伯60歳以降」および「長谷川派の絵師たち」に焦点をあてます。桃山時代、「狩野派」を筆頭とする絵師たちはそれぞれに多くの弟子たちを擁し、集団で制作活動を行っていました。等伯も「長谷川派」を形成、総帥として一門を率い大規模な寺院の障壁画制作などを手掛けています。
本展では等伯晩年期制作の水墨画や、能登や京都で等伯をささえ「長谷川派」を盛り立てた一門の絵師たちによる彩色画や水墨画・金碧画など、あわせて27点を紹介いたします。
等伯を中心にキラ星のごとき逸材を輩出し、桃山画壇に一時代を築き上げた絵師集団「長谷川派」。その多彩な顔ぶれと、彼らにより生み出された名品の数々を、ぜひとも一門発祥の地・七尾でご鑑賞ください。