先鋭的な作風で画壇を牽引してきた二人の日本画家、池田幹雄(1928- )と、滝沢具幸(1941- )の画業を紹介します。
北海道函館市に生まれた池田は、多摩造形芸術専門学校(現多摩美術大学)卒業後、新制作協会を活動の拠点とし、吉岡堅二という師を得ます。一方、長野県下伊那郡(現飯田市)に生まれた滝沢は、中学時代から早熟な才能を発揮し、東京藝術大学で吉岡堅二に師事します。両者はやがて、新制作協会日本画部によって結成された創画会を主導し、またグループ「地の会」など同じ舞台で切磋琢磨しながら画境を極めてゆきます。
心象風景をモティーフにシュルレアリスムに接近した池田、そして人間をも含む自然を主題に抽象的な画面を構築する滝沢の仕事は、花鳥風月を抒情的に描いてきた日本画の枠にとらわれない、果敢な試みといえるでしょう。
本展では、川越にほど近い新座市、武蔵野市に在住し活躍を続ける両者の画業を代表作でたどり、変貌を続ける戦後の日本画の一側面に光を当てます。