西欧の絵画において、女性は古くから最も重要なモチーフのひとつであり、また、画家の創作意欲を刺激する題材でもありました。女性の美しさ、気高さ、神秘性などをとらえた数多くの女性像は、時代や地域を越えて、現代に生きる私たちをも魅了します。
今回取り上げるのは、主に、19世紀後半から20世紀前半にかけて、フランスで活躍した画家たちが描いた女性像です。この時代には、産業革命による近代化が進む中、社会の様々な場面での女性が描かれるようになりました。また、印象主義や象徴主義など新しい絵画表現が20世紀前半に向けて次々に開花し、豊かに実っていく中、女性は内面的世界を掘り下げたものなど、多様に表現されていきます。
本展では、フランスの美術館所蔵作品を中心とする47作家による約60点で、この時代の女性表現の多様さや絵画表現の豊かさの一端を紹介します。