絵をみるということは本来、孤独な行為といえるでしょう。つぶやかれた感想の多くが、独り言(モノローグ)となって消え去ってしまう。しかし、ひとつ見方を変えれば、そこですでに作者と鑑賞者のとの間で一種の対話(ダイアローグ)がなされていると捉えることもできます。
さらに、今回の展覧会では、人物が対話している場面の絵画ばかりを集めてみました。多くの芸術ジャンルにとって、対話はとても重要な構成要素です。なかでも映画や演劇の脚本というものは、基本的に対話だけで成り立っているものです。
しかし、絵画というジャンルでは言葉を表現することはできず、色や形が醸し出す雰囲気や人物のしぐさから、その会話の内容を推し量るよりほかありません。彼らはいったい何を語り合っているのでしょう?
展示しているほとんどの作品の会話内容に、明確な答えがあるわけではありません。鑑賞するみなさまの感性で、絵解きにチャンレンジしてみてください。ワークシートもご用意しますので、吹き出しに自由な言葉を書き入れてみてください。
また、そのような形で積極的にご鑑賞いただくことが、みなさまと美術館との対話ともいえるのではないでしょうか。ご参加をお待ちしています。