本展は、日本画の優れたコレクションで知られる山種グループの全面的なご協力により開催される稀にみる名品展です。
わが国の日本画は、明治維新以降、東京大学のいわゆる「お雇い」教師として来日し、日本美術に高い関心を示して美術界を引導したアメリカ人フェノロサやその教えに共鳴し、わずか28歳で東京美術学校の校長をつとめた岡倉天心らの力によって、西欧の写実を受け入れ、それまでの伝統であった事物を型通りに描く画一的な表現方法から脱皮していきました。京都でも、画壇を支配していた四条派の進めた筆の穂先に濃い色をつけ、筆の腹に淡い色をふくませて描く付立(つけたて)の技法が、西欧の陰影法につながり、画風の西洋化を自然に図っていきました。
この展覧会では、そういった西洋画の洗礼を受けた新しい日本画の数々が生まれた明治以降から現代までの、新鮮で、美しい日本画を一堂に集め、機知に富んだ動物画、華麗な花鳥画、そして赴きの深い風景画など日本画の俊英たちが描く美の世界を存分にお楽しみください。