永沢まことは、街で今“生きている”ヒトの動作や表情を一瞬で捉え、“ホンの数秒”で次々と線描きしていきます。
その原点は、東京を飛び出し、多様な人種に圧倒されつつもニューヨークに住み着いた1980年代にさかのぼります。繁華街タイムズ・スクエアなどで永沢の心をつかんだニューヨーカーたちは、軽快なスケッチ・スタイルによって、コミカルでいて、どこか生々しい姿をさらけ出し、帰国後に描かれた、東京のいわゆる“普通”過ぎる人びとの姿は、「いるよね、こういう人!」と、観る側を思わずクスリと笑わせます。
本展のタイトルでもある“都市画”は、類まれな人間観察力とおびただしいスケッチの変遷を経て辿り着いた、“街の今”を捉える、永沢まこと監修のドキュメンタリー! 渋谷、新宿はもちろん、自身も特別な親しみを感じるという“吉祥寺”の街は、格好のターゲット。2012年から約3年の歳月をかけて制作された《吉祥寺駅前Ⅰ~Ⅳ》は、4点をつなげると、180度のパノラマが展開します。
加えて、本展では、《吉祥寺駅前Ⅰ~Ⅳ》が完成するまでの工程展示(コピー)や、初公開のクロッキー帳、文庫本サイズのスケッチブックも多数ご紹介します。