漢詩に対して生まれた和歌は、やがて日本文化の奥深くに根を張って、いたる所にその影響を与えています。とくに『源氏物語』に代表される和歌を介した華やかな恋愛模様は魅力にあふれ、物語文学をはじめとして多彩な創作を促しました。「男女の仲をも和らげる」(『古今和歌集』仮名序)ことは、まさに和歌の本領です。本展では恋歌を筆写した「古筆」(鎌倉時代までのすぐれた筆跡)など書跡を中心に、「歌仙絵」(代表歌を書き添えた三十六歌仙の肖像)ほか絵画の名品、和歌を論じる歌論書やさまざまな恋のあり方を伝える歌物語など、五島美術館・大東急記念文庫の収蔵品の中から約60点を選び展観します。会期中、展示替(巻替・頁替を含む)があります。
国宝「源氏物語絵巻」を4月29日[祝]から5月8日[日]まで特別展示。