当館のコレクションの中軸をなす国内・外の画家たちは、その人生において何らかのかたちで「戦争」を体験しています。今回紹介する作品は、それぞれの画家の人生の一断面にすぎません。しかし、戦時下において、真摯な姿勢で描き続けようとした者たちの作品は、その人となりをも浮かび上がらせてくるようです。空襲が激化するなか東京から離れず都会風景を描き続けた松本竣介、兵士としての過酷な戦場体験を、戦後になり小さな銅版に刻んだ浜田知明、中国大陸や東南アジアへの渡航と従軍を重ね、広大な大地に魅せられた清水登之らの作品をはじめ、祖国の内戦に翻弄されながらも傑作を生み出したパブロ・ピカソ、マルク・シャガール、ベン・シャーンら海外作家の作品も加え、10名約100点の作品を展観します。近代日本の画家達が強く心寄せた彼らもまた戦時を生きた画家の一人でした。
不幸にも戦争の時代を生きなければならなかった画家たちが描いた作品を通して、「戦争とはなんであったのか」戦後70年の節目を迎えるいま、再考の機会を提供しようとするものです。