現代を代表するアーティストの一人、ダミアン・ハースト。90年代初頭に発表した、巨大なサメをホルマリン漬けにしたセンセーショナルで挑発的な作品が、美術界はもちろん多くの人に衝撃を与え、表現の新たな可能性を確信させるとともに、YBA(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)の代表格として現代美術史に名を刻みました。ハーストは生と死をテーマにした一連の作品と並行して、合理的でシステム化を徹底した作品世界を生み出しています。
本展覧会では2002年に制作された「In a Spin, the Action of the World on Things, Volume I」(スピン・エッチング全23点・68部限定)を展示します。本シリーズで作家は、回転する版に針やドライバーを押し当て製版を行っています。版のスピーディな回転から生まれた規則的な円の連なりの上に、不規則に広がるペイント。作家の鋭敏な感性が画面中心から外の世界まで広がります。