昭和を代表する写真家、秋山庄太郎(1920~2003)は13歳で写真を撮り始めてから亡くなる直前まで、写真に生涯を捧げました。女優や風景、人形、作家など様々なモチーフを撮影して活躍、とりわけ40代半ばからは「花」の撮影をライフワークとし、以降「花」を中心とした作品展や作品集を次々と発表しました。
今回ご紹介する「遊写三昧 花―365日」の作品群は平成21年に当館に寄贈されたもののひとつです。花だけでなく、水面や動物などバラエティに富んでいるのが特徴で、木の擬化する形体の面白さや壁を抽象的に切り取るなど秋山写真芸術の個性的な作品ぞろいです。「余生写真道楽に徹すべし」という秋山の言葉から日常的な写真美への探求とその楽しみが垣間見えるのではないでしょうか。
当館で開催する2回目の秋山の写真展では、「遊写三昧 花―365日」から季節の花を中心とし、抽象や水面、木肌、動物などバラエティ豊かな作品の数々をご紹介します。なお、昨年逝去された女優、原節子さんを追悼し、秋山庄太郎撮影の肖像写真を秋山庄太郎芸術館の協力により特別出展します。