松竹梅を組み合わせて、祝儀のデザインとして用いるようになったのは、室町時代以後のことです。しかし、松・竹・梅は、それ以前から日本人の文化や生活にかかわってきました。ひとびとは、松の風格ある幹や枝ぶり、常に緑深い葉などに神秘的な力を見出し、青々とまっすぐで、凛とした姿の竹にも、霊性があると考えました。また、花のない時期に、老木から生命が再生するように可憐な花を咲かせる梅にも、不可思議な力を感じとったのです。松・竹・梅を単独に、あるいは組み合わせて描いた絵画や、それらをデザインした工芸品に込められた、長寿の願いや祝意を感じ取っていただければ幸いです。