三岸節子(1905-1999)は、愛知県中島郡小信中島村(現・一宮市)に生まれ、東京に出て女子美術学校(現・女子美術大学)で油絵を学び、卒業の年に洋画家・三岸好太郎と結婚(1903-1934)と結婚、翌年には女性として初の春陽会入選を果たし、華々しく画壇デビューを飾ります。
しかし、夫・好太郎は31歳で急逝。節子は3人の子どもを抱えながらも画家として生きることを決意。様々な困難に直面しつつ、独立美術協会、新制作協会などへの入選を重ね、女流画家の第一人者としての地位を確実なものにする一方、女流画家協会などの結成にに加わり、画壇において女性が活躍できる舞台を着実に築いていきました。
その後、63歳の時に南フランスのカーニュに移住、次いでブルゴーニュ地方ヴェロンを拠点に各地を旅しながら風景画に挑戦しました。以来20余年、80歳を過ぎていよいよ情熱のほとばしるキャンバスの絵具は、節子の辿った激動の人生そのものであり、見る者の心に烈しい感動を与えずにはおきません。
本展では、燃え続けた情熱の画家三岸節子の、画壇デビュー作《自画像》から93歳の大作《さいたさいたさくらがさいた》まで、油彩55点・素描30点を展観し73年に及ぶ画業を振り返ります。