日本美術において、祭事・婚礼などの慶事や節句、あるいは日常の営みの中で用いる図様として、さまざな吉祥画題が表現されてきました。本展では、長寿や子宝、富や繁栄などを象徴する幸福への願いが込められた美術に焦点をあて、おなじみの鶴亀、松竹梅、七福神など現代人にとってもラッキーアイテムといえる対象を描いた絵画をご紹介します。また、ユーモラスな表現、幸福感のある情景など、HAPPYな気持ちをもたらす作品も展示します。伊藤若冲が表情豊かに鶏を描いた押絵貼屛風《群鶏図》★、歌川国芳のおどけた姿の猫や金魚の戯画(会期中、展示替え有り)。そして、重厚感のある筆力が際立つ河鍋暁斎の《五月幟図》★、日本を象徴する霊峰富士を表した横山大観《心神》。江戸時代から近代・現代までの優品約70点を通して、新春にふさわしく、めでたい主題や思わず笑みがこぼれるHAPPYな日本美術をお楽しみください。
*「★」印は個人蔵、その他は山種美術館蔵