近年、その魅力が見直されている日本美術ですが、たとえば狩野永徳や長谷川等伯の障壁画、本阿弥光悦、俵屋宗達から尾形光琳、そして酒井抱一に至る琳派、喜多川歌麿・葛飾北斎・東洲斎写楽等の浮世絵、そして、若者にも絶大な人気を誇る伊藤若冲など、そのいずれもが、現在で言う「デザイン」という言葉で表現できる特質を内包していることがわかります。そして、戦後のグラフィックデザイン黎明期から今日までの現代日本のポスター作家たちは、西洋文化の大いなる洗礼を受けながらも、こうした日本独特の伝統美の血脈を感じさせる傑作を、数多く生み出してきました。
本展ではDNPグラフィックデザイン・アーカイブ収蔵品の中から、「日本の伝統美」という視点で選ばれた、幅広い世代のポスター作品をご紹介します。
絵と文字の融合、大胆な色面使い、象徴的モチーフの引用など、作家それぞれの個性の中に垣間見られる「NIPPON」を、お楽しみいただければ幸いです。