洋画家・向井潤吉(1901-1995)は、現在、向井潤吉アトリエ館のある世田谷区、弦巻の地に、1933年にアトリエを構えました。終戦後は、次々と姿を消す伝統的な民家を追い求めて、全国を歩き始めます。主な取材先は埼玉や長野、岩手などの東日本でしたが、しばしば、生まれ故郷である京都をはじめ、西日本各地にも足を運びました。
紀州の梅林、古都奈良の古壁、京都の雪景色、瀬戸内の島、倉敷の町並み―。民家を探す旅路で、向井は西日本の気候や風土が生み出す四季折々の景色に出会い、絵筆を揮 (ふる) いました。
本展では、これまでまとめて紹介する機会の少なかった西日本を描いた油彩画、水彩画を集め、向井が綴った紀行文を併せてご紹介します。旅の味わいを感じつつ、画家が魅了された風景の数々をお楽しみください。