先の戦争が終わってから七〇年が経過し、戦争を知らない世代が総人口の八割を超え、戦争は遠い過去の出来事として記憶も風化しつつあります。戦争体験者が減少する中、戦争で得た様々な教訓をいかに次世代へ継承するのかが、私たちの大きな課題となっています。
鳥取県立博物館では、戦後五〇年を契機として平成七年に県内の戦争関係資料の調査を始め、これまでに三〇〇〇点を超える資料を収集しました。今回、戦後七〇年を節目として、この二〇年間に収集した資料のほか、県内外の戦争関係資料をもとに、昭和六年(一九三一)に勃発した満州事変から昭和二〇年(一九四五)八月一五日の終戦までの間における鳥取出身の将兵や郷土部隊、銃後の県民生活、戦時下の子どもたちの姿を展示紹介します。
また、平成二六、二七年に行った調査の成果をもとに、今後、口頭伝承などが困難となる戦争の記憶を伝えるものとして重要性が増すと思われる「戦争遺跡」のうち、県内の旧軍用地や戦争記念碑等も紹介します。
本展を通じ、戦争を遠い場所で起こった過去の事件でなく、私たちの身の回りで起こった出来事ととらえることで、戦争の惨禍や平和の尊さを足元から見つめ直す契機としたいと思います。