織は、経糸と緯糸が垂直に規則正しく交差していくことに無限のヴァリエーションがあり多様な素材と相まって表現としての広がりも無限です。また、織はほとんどすべての人と共にあり、人にとってなくてはならないものでありながら、その成り立ちは意識されることが稀なものとなってきています。
そんな織に取り組むようになって自分がなすべきことは? という問いはいつも私の中にあります。時の流れとアート、染織の動きの中で私はどこへ向かうか? 立ち止まる時間も長く続きました。私にとって大切な自然の恵み、人とのつながり、人がつくったもの・・そしてそれらを脅かすもの・・。それらに向かう私の思いを私の織に込めること、とりあえずはそういうことかと考えつつ織ってみることにした、というのが―KOTONOHA―の背景です。そのような中途半端なものをお目にかけることは心苦しくはありますが、昔話の「つう」のごとく、身を削りつつも織ることは私にとってはかけがえの無い楽しいもの、喜びであることは確かめられたと思います。