1891(明治24)年郡山市本町に生まれた三木宗策 (みき そうさく) は、近代彫刻を代表する高村光雲 (たかむら こううん) の高弟・山本瑞雲 (やまもと ずいうん) のもとで伝統的な木彫を学び、大正から昭和戦前期にかけて木彫家として活躍しました。
1916(大正5)年第10回文部省美術展覧会に<ながれ>で初入選以来、文展、帝展に出品を続け、審査員を務めるなど、官展作家としての活動のほか、日本木彫会や正統木彫家協会創設にかかわるなど、木彫会を担う作家のひとりとして、大きな期待を集めていました。
1945(昭和20)年郡山に疎開して間もなく53歳で亡くなったため、正統を謳った彼が目指したものは何だったのか、戦後の歩みが見られなかったことは大きな損失であったといえるでしょう。
神社仏閣に祀られた気高い尊像や神話伝説を主題にした出品作などが一堂に会する三木宗策の世界―没後70年、これまでなかった邂逅を果たし、作品たちは何を語ってくれるでしょうか。