熊本市現代美術館は、地方美術館の使命の一つとして、地元九州・熊本の若手アーティストの調査・支援に力を注いできました。
「アーティスト・インデックス」展ではその蓄積をもとに、九州圏の今注目の若手アーティストたちをご紹介します。
熊本市中央区の河原町繊維問屋街は、幅広い表現分野の発表の場として「河原町アートの日」を毎月開催し、熊本と若手クリエーターの代表的な活動の舞台となっています。今回は、そこから川嶋久美、小林駄々という2人のアーティストを選出しました。川嶋は、年に一度の「河原町アートアワード」で毎年受賞を収める実力派。一方、小林は2013年から本格的に作家活動を開始し、独特の世界観でファン急増中の新星です。
当館が毎年開催している市民美術展「熊本アートパレード」は市民の創作活動の大きな発表の場の一つですが、同時に新たな才能との出会いの場でもあります。母校で美術講師を務めつつ自主企画展などで作品発表を続けてきた宮本華子は、2014年度のアートパレードで審査員特別賞(三潴末雄賞)を受賞。
本展ではアートパレードの作品シリーズをさらにグレードアップして発表します。
「アーティスト・インデックス」展は、第1・2回展では出品作家を熊本県内のアーティストに限定していましたが、今回は対象範囲を県外にも広げ、佐賀を中心に活動するアーティスト・冨永ボンドを招いています。冨永は、2014年に福岡から佐賀県多久市に移り住み、「地方だからこそできる活動」を目指して同地でアートスタジオ「ボンドバ」を設立。その存在は周囲の若者にも刺激を与え、「ボンドバ」は徐々に佐賀のプレイヤーたちが集う拠点の一つとなりつつあります。
選んだ場所は違えど、彼らはいずれもそれぞれの場で自らの道を切り開こうと日々奮闘を続けている作家たちです。本展で彼らが踏み出す新たな一歩にどうぞご注目ください。 (学芸員・佐々木玄太郎)