いわゆるメロンの仲間を指すウリ,そしてヒョウタンは,いずれもウリ科に属しており,古くから人の生活に深くかかわってきました。ウリは弥生時代以降日本に伝わり,果物あるいは野菜として育成されてきました。歴史的に見ると,雑草メロン,マクワウリ・シロウリ,モモルディカメロン,マスクメロンと多様で,時代によって趣向・用途も変化してきました。一方,ヒョウタンは縄文時代初頭には日本に伝えられ,日本人とのかかわりは1万年間にも及んでいます。一部で食用とされた以外はほとんどが器の材料として育成されてきました。こうした事実は,遺跡の発掘調査や文献史料から知ることができますが,歴史的に古い形質や遺伝的性質をもったものが各地にほそぼそと伝えられ,それら生きた資料から実体を知ることができます。
国立歴史民俗博物館では,縄文時代以来の形質をもつウリとヒョウタンの系統を収集してきました。奈良・平安時代のメロンなども含まれます。今回の展示は,これらを育成・展示し,生きた実物をとおして生活文化の歴史の理解を促そうとするものです。