倉敷ゆかりで文化勲章を受章した池田遙邨(1895-1988)は、日展で活躍した日本画の巨匠でありながら、親しみやすいユニークな作風で知られています。
自然をこよなく愛し、写生が何よりも好きだった遙邨。10代で洋画家として画業をスタートさせますが、笠岡市出身の日本画家・小野竹喬から「自然はよく見ているが、これからは主観を入れてみてはどうか」と助言をもらったのをきっかけに、日本画家に転身します。
主観を入れる。見たそのままでなく、自分が感じたものを絵にするには、どうしたらよいのか。写生を重ねながら構図を作り、さらに画面に心情を反映させた大正期から、昭和戦前期には先人の絵を研究し、作風を次々に変えながら、遙邨は自らの芸術を模索しました。戦後、空想と現実の間にあるような不思議な作風を経て独自の道を切り開いた遙邨は、晩年にはこころの中の詩がそのまま絵となったような、詩と絵の世界がひとつに溶け合う境地に達します。
本展では代表作・初出品作を含む約80点を紹介し、その生涯を辿りながら、遙邨芸術の魅力にせまります。子どもから大人まで、皆様でどうぞお楽しみください。