「ミッフィー(うさこちゃん)」の生みの親であるディック・ブルーナは、オランダの絵本作家であり、グラフィックデザイナーです。世界中で愛される、シンプルであたたかみのある線と、6色の「ブルーナカラー」で描かれた絵の背景に、彼のモダン・アートに対する尽きない興味とたゆまぬ研究が隠されていることはあまり知られていないでしょう。うさこちゃんが両親と一緒に美術館へ出かける『うさこちゃん びじゅつかんへいく』(福音館書店 2008年刊)は、そんなブルーナならではの絵本です。短いストーリーには、初めて本物の美術作品に触れた幼い子どもの新鮮な驚きと感動、子どもらしい素直な視点、そして何よりも美術を楽しんで見る体験と喜びが溢れています。
そこで本展では、「見てみよう」の部として『うさこちゃん びじゅつかんへいく』をガイドに当館所蔵のモダン・アートを紹介します。そして「考えてみよう」の部では、ブルーナの様々な仕事を紹介し、色彩と技法の両面から彼の制作スタイルに迫ります。さらに「作ってみよう」の部では、ワークショップを通して実際のブルーナの制作方法を体験します。
ブルーナの魅力をより知っていただくと同時に、幅広い年齢層にモダン・アートを楽しんでいただく機会となれば幸いです。