シルクロードは、ドイツ人地理学者リヒトホーフェンが125年前に作った言葉で、当初、中国からサマルカンド(現在のウズベキスタン共和国)までの短い交易路を限定して指すものでした。しかし、現在では西のローマと東の長安、さらには奈良までを結ぶ、草原・オアシス・海を経由する巨大な交易路ネットワーク全体をさす幅広い概念となっています。
中華人民共和国の一番西に位置する新疆ウイグル自治区は、草原とオアシスを経由するシルクロードが貫通していた、東西交渉と交易にとってきわめて重要な中継地です。その新疆ウイグル自治区文物局の全面的な協力の下、絵画・彫刻・文書・工芸・考古という様々な分野から、まばゆい光を放つ金銀製品と色鮮やかな絹織物を中心に作品を厳選、あわせて150件を展観するかつてない規模と質の展覧会が実現しました。
この展覧会では、遊牧民族とオアシス定住民の作り出した美術品、シルクロードを通って各地からもたらされた美術品、そしてこれらの交易路を行きかった様々な民俗に焦点をあてながら、紀元前8世紀頃から約2000年間にわたって、シルクロード沿いの各地に花開いた文化を見ていただきます。この展覧会を通して、ロマンあふれるシルクロードの息吹を感じていただければ幸いです。