「子どもの頃に涙でネズミの絵を描いた」という伝説で知られる室町時代の画家、雪舟等楊。
記念すべき北陸新幹線開業年の本年、富山県水墨美術館では、日本の絵画史上に大きな功績を標した水墨画家たちの足跡をたどる「雪舟から等伯へ」を開催します。
雪舟は、備中(岡山県)に生まれ、京都の相国寺に入って禅と画の修行をします。その後、周防(山口県)を拠点にしつつ、明(中国)に渡って絵を学び、帰国後は日本の各地を歩き、人生の大半を旅の中で生きた画僧でした。旅で出会った風景は、雪舟独自の解釈による大胆な構成と力強い筆致で描かれ、中国絵画の受容にとどまらない日本の水墨画が確立したのです。
また、雪舟の旅に同行した等春や、秋月等観らの弟子たち、雪舟の流れをくむ雲谷派や狩野派の絵師たち、自ら雪舟五代と名乗った長谷川等伯(能登国七尾生まれ)など、影響を受けた後世の画家たちによって、雪舟が成した偉業は、日本独自の豊かな絵画世界へと展開しました。
本展では、雪舟の里として知られる岡山県や山口県をはじめ、日本各地の美術館や寺院で大切に所蔵・研究されてきた名作の数々によって、雪舟から等伯へといたる水墨画の魅力を存分にご紹介します。