変化に富む四季に恵まれた日本の気候風土のもとで、人々は美しい自然に対する豊かな感受性や独自の美意識を育んできました。中でも、太陽の光がさんさんと降り注ぐ夏は、緑濃く生い茂る植物や、暑さを避けて水辺に佇む動物をはじめ、夕涼みや花火などの夏の風物詩が絵画作品の題材としてしばしば取り上げられ、詩情豊かに表現されています。
本展覧会では西村昭二郎、小林恒岳らの描く水辺の鳥たちをはじめ、前田青邨、安田靫彦の描く鵜飼や夕涼みの情景のほか、鏑木清方、小林古径らの描く女性の装いなど、夏にちなんだ自然や風物を描いた日本画を展示します。また、岩田藤七、岩田久利の涼感あふれるガラス工芸も併せて展示し、夏を彩る25点の作品を紹介します。