上半身をクローズアップして描く「美人大首絵」を確立した喜多川歌麿は、女性の仕草や表情を繊細に描写するだけでなく、におい立つような色香や内面までも見事に表現して美人画の第一人者と謳われました。また、同時期に美人画と並んで人気を博した役者絵では、写実的な似顔絵を得意とした勝川春章や歌川豊国、役者の一瞬の表情を大胆に表現した東洲斎写楽らが活躍し、浮世絵は最盛期をむかえました。
本展では、中右コレクションより寛政期から文政期(18世紀末から19世紀前半)を中心に、肉筆画を含む135点を展示し、江戸町人文化の賑わいとともに花開いた黄金期の浮世絵の魅力を紹介します。また、日本きもの文化美術館の協力により、浮世絵にも登場する花魁(おいらん)道中着やかんざし等も特別展示します。