「これは何を描いているのですか」
そう訊かれることがある。
多くは、私の作品画面の中に何か具体的なものを求めての問いである。
motif という概念によるのであれば、
私の制作 motif は外的対象世界ではない。
また、観念そのものでもない。
敢えて言うなら私の motif は、
それらを認識・識別しようとする行為にある。
例えば、頭にえがく、紙に描く。
この描くという行為もひとつの認識行為である。
そのような行為そのものが、私の motif と言える。
然し乍ら重要なのは、
"何が描かれているか" ではなく
"描かれている何か" であろう