国内外の美しい風景や人々の暮らしを捉えた作品で知られる写真家の長野良市(1957年熊本県生まれ)は、両親から頻繁に聞いた戦争体験に触発され、1995年から国内を含むアジアの戦跡を撮り続けています。また、15歳で満蒙開拓青少年義勇軍に志願し、シベリアで4年間の抑留生活を送った画家の宮崎静夫(1927年熊本生まれ)は、自省と異国の地で散った人々の鎮魂の願いを込めて「死者のために」シリーズを描き続けています。両者は世代も手法も異なりますが、めまぐるしく変わる世の中で薄れてゆく戦争の記憶を作品を通じて次世代へ語り継ぐことに力を注いでいます。戦後70年を迎えるにあたり、本展では未公開作品を含む長野の戦跡などの写真と当館収蔵品の中から宮崎の「死者のために」シリーズを展示します。