「ヒロシマ賞」は、世界最初の被爆都市である広島市が、世界の平和と人類の繁栄を願う「ヒロシマの心」を目的として、1989年に創設し、3年ごとに授与しているものです。
その第5回受賞者ダニエル・リベスキンド(1946年ポーランド生)は、音楽家としての経歴も持つ、異色の建築家です。これまでにない建築を世に問い続ける彼の独創的な活動は、建築の世界にとどまらず、芸術文化の世界でも高い評価を受けています。なかでも昨秋開館したベルリンのユダヤ博物館は、その斬新さゆえに、これまでほとんど実現することのなかった彼の思想が結実した建物として、今世界的に大きな注目を集めています。
今回の受賞記念展では、近年の彼の代表作から、この「ベルリン・ユダヤ博物館」のほか、「北帝国戦争博物館(イギリス)」「デンバー美術館(アメリカ)」「フェリックス・ヌスバウム美術館(ドイツ)」の、四つの建築の巨大モデルと図面から構成されたインスタレーションが展示されます。観客は、空間全体から彼の思想を読み取り、感じ取ることができるでしょう。