ほぼ独学で絵画を学び、大正期には若くして文展、二科展に出品し、岸田劉生との出会いから草土社、白樺に参加。その後は国画会などで作品を発表しながら挿絵画家としても活躍した河野通勢 (みちせい)(1895―1950)。
東京美術学校卒業後まもなくから帝展で特選・入選を重ね、大戦間の時期のフランス滞在後に一層評価を高めて戦前戦後を通じて官展、光風会で発表を続けた中村研一(1895―1967)。
同年に生まれ、ともに後半生を小金井で過ごした二人の洋画家は、経歴や画風が対照的なだけでなく、それぞれの代表的な作品が描かれた年代も異なります。そのため「同い年」と意識されることが少なく、近代洋画史を語る上で一緒に取り上げられることもほとんどありませんでした。河野・中村の生誕120年を記念して開催する本展は、二人の作品を多数所蔵する長野県信濃美術館のコレクションを中心に構成し、両者を対照させると同時に同時代を生きた画家としての共通項を探ります。