飛鳥・藤原京(いまの奈良県明日香村、橿原市など)に都があった7世紀の日本は、大陸の進んだ文化を吸収しながら、中央集権の国家が形成されていく時代でした。営々と続く発掘調査により、壮麗な仏教寺院の伽藍配置や、平城京をもしのぐ藤原京の規模などが明らかになっています。このような発掘調査で大きな役割を果たしてきた奈良文化財研究所の創立50周年を記念して、本展では飛鳥・藤原時代に関する近年の研究成果を、国宝・重要文化財を多数含む約140件で総合的に紹介します。「戦後最大の発見」といわれる高松塚古墳や藤ノ木古墳の副葬品から全国の注目を集めた「亀形石造物」、キトラ古墳内の壁画など最新のニュースまで、重要な発掘成果を集成するほか、飛鳥時代の金剛菩薩立像をはじめとする仏教美術の精華や天皇木簡、富本銭、壬申の乱の戦いの模型、藤原京の大模型など、多角的な内容です。聖徳太子や中大兄皇子、天武・持統両天皇などが活躍した、国家創造のエネルギーに満ちた時代の息吹を体感していただければ幸いです。