19世紀中頃のフランスでは、多くの画家たちが、画題を求めてパリの南東60キロ、フォンテーヌブローの森に隣接するバルビゾン村へと訪れました。そこで画家たちは、生い茂る草木などの自然の造形や、農村での人々の生活の様子などを描き取っていきました。
写真術が発明されたのも、この時代です。バルビゾンやフォンテーヌブローの森は、画家だけでなく写真家たちの関心をも惹きつけました。彼らの写真は、当時の様子をおさめた記録であるだけでなく、芸術性を志向した美術作品とも言えるでしょう。また、写真の技術から派生した版画技術クリシェ=ヴェール(ガラス・ステロ版)は、バルビゾン派の画家などを中心に関心を呼び、多くの版画作品が残されることとなりました。
本展では、北海道立近代美術館と帯広美術館のコレクションから、自然の景色や農村風景を捉えた19世紀の絵画と写真を、モチーフや技法に着目しながら紹介します。