故 木下満男氏(昭和7年~平成8年)愛蔵のコレクションの中から、工芸と書の中に見る色、「黒」に光をあてた展覧会です。
「黒」は印籠や煙草入れ、櫛、簪、刀装具にみられる職人たちの技を、より際立たせ輝かせる色。
JAPANと称される漆にはじまり、刀装具の鉄。鼈甲の斑。その濃淡で、すべての色をあらわすことができると言われる墨。
「黒」が生み出す様々な世界を楽しんでいただけます。
現代では、影や夜、暗闇を感じる機会が少なくなっていると言えます。太陽の光や、行灯のあかりで見たであろうこれらの美術品たちは、持ち主の目をどのように楽しませていたのか。
これらを改めて静かに見つめれば、かつての金工職人や画工達が、「黒」を使うことによって金・銀・銅の煌めきや、色彩の効果を最大限に生かしていることを発見できるでしょう。
本展覧会をとおして、日本の美によりそう「黒」を感じていただければ幸いです。