江戸時代に入ると、遊里や芝居町などを中心に活気ある町人の文化が開花し、当世の風俗をいきいきと伝える浮世絵からは、町人たちの憧憬や関心をうかがうことができます。
なかでも絵師が直接筆をとって描いた肉筆浮世絵は、衣裳模様の細密な表現や賦彩の鮮やかさなどに版画とは違った味わいがあり、富裕な町人のみならず大名などの貴顕にも愛好されました。
本展では、浮世絵の開祖といわれている菱川師宣、肉筆画で浮世絵師中第一級の技量をふるった勝川春章、美人画の名手・喜多川歌麿、風景版画で一世を風靡した葛飾北斎の作品を中心に、重要文化財3件を含む肉筆浮世絵の優品約30点を展観します。