遥か古来より、現世における生―浮世に煌く束の間の時を鮮やかに飾りたてようとする力は、日本文化の本質的な一面を確かに象徴していると思われます。
それは様々な色彩や造型感覚の妙に支えられ、観る者・扱う者を忘我の境地に誘ってくれましょう。
舶載された唐紙に流麗な筆緻を遺して名高い「巻子本古今和歌集序」〈国宝〉の特別展示(期間限定)をはじめ、鎌倉期漆芸の名品「長生殿蒔絵手箱」〈重要文化財〉、風雅な人々に愛好され伝えられた香道具「松竹梅蒔絵十種香箱」、江戸の卓抜したセンスを妖しくも溌剌と写し出す風俗画「遊楽人物図」に、「波に千鳥図」等装飾屏風や能装束の華やかさも加え、種々の異質文化を背景に培われていった優美な和の世界をお楽しみ下さい。