公益財団法人岡田文化財団は、「三重県における芸術・文化の発展と振興」を目的として、1979(昭和54)年に設立されました。それはちょうど「県立美術館基本構想(案)」が文化審議会の承認を受け、三重県立美術館建設が具体的に動き出した時期に重なります。1982年の県立美術館開館以降は、国内外の美術品の寄贈や美術館活動への助成を通じて美術館をサポートし続けてきました。さらに、県内の伝統工芸振興や若手作家育成などへも積極的に乗り出し、2005年4月からはパラミタミュージアムの運営にも携わるなど、設立以来35年間にまかれた種は各地で芽吹き、大きく枝を伸ばそうとしています。
同財団から三重県立美術館への初めての寄贈は、1981年のマルク・シャガールの大作《枝》でした。これまでに寄贈された作品の総数は約400点。その中には、モネやルノワール、藤島武二や梅原龍三郎、三重県ゆかりの宇田荻邨や曾我蕭白など、美術館の顔として愛される作品が含まれています。
これまで三重県立美術館では、同財団から寄贈された作品をご紹介する展覧会を、活動の節目ごとに開催しました。財団設立35周年を記念した本展では、これまでに寄贈された作品を4つの章に分けてご紹介します。「企業メセナ」という言葉がまだ日本に根付く前から、一貫して社会貢献活動に力を入れてきた財団の活動について、この展覧会を機に理解が深まることを期待します。