京都の陶磁窯の誕生は安土桃山時代です。「京焼」の視覚的な価値は、近世にあっては①白化粧に色絵磁器、②唐物や高麗物といった茶器の写し、③「京瀬戸」「京唐津」などのように地方の物を京風にアレンジしたことが挙げられます。多くの名工の手によって、近代まで引き継がれてきました。その後、近代における「京焼」の特色は、①京都画壇絵付けとのコラボレーションの登場、②殖産興業としての輸出陶磁器の流行、③新たな釉薬や焼成法の研究から新たな京焼の歩みがみられます。明治維新後は体制や文化の変化に伴って茶陶の需要の変化、輸出陶磁器の流行と停滞を経験してきました。このように京焼の歴史は常に継承と展開をすることで、近世から近代への歴史を持っています。本展覧会は江戸期を経て、主に明治期から今日にいたる京焼の新世紀を展観します。現在も創作を続ける諸家の歴代の作品を見る事で、何が継承され、何が展開されているのかを、都の意匠の技から考えることもできるでしょう。各時代時代に様々な技術が取り込まれ、技術的多系統と多様性を身に着けてきた京焼は、作陶の一切の縮図が組み込まれているといえるでしょう。まさに京焼400年の歴史は、常に新たな時代の意匠と創作の芽吹きの実験の場であったと言えます。そして今何が行われようとしているのか。次の四章から展覧会を見ていただきます。
1章 京焼誕生 京焼/楽焼
2章 近代京焼の展開
3章 京焼と京都画壇のコラボレーション
4章 現代陶芸から現代美術としての「陶」