第2次世界大戦以前のアメリカ陶芸は、ヨーロッパを規範として技術を重んじる傾向が強くありましたが、戦後は状況が大きく変化しました。ピーター・ヴォーコスらがそれまでの陶芸の技法的な常識を破るきわめて自由で彫刻的な陶芸作品の制作を開始したのです。これらは1950年代、ニューヨークの美術界を風靡したポロックらの行動の軌跡を示す作画法になぞらえて抽象表現主義的陶芸と称され、陶土による新たな造形表現として注目されました。また、浜田庄司の訪米を通じ、日本の民芸が紹介され民芸風の陶器が作られたり、日本の樂焼きにヒントを得た作品も制作されました。さらに、マーケットの食品を焼きもので作るなどポップ・アート風の作品も現れてきました。
本展は、1950年から90年にかけて制作されたこれらの作品を展観することにより、戦後アメリカ陶芸の40年を回顧するものです。