清川泰次(1919-2000)の絵画の線は、実に様々に変化していきます。初期の作品に見られる、モノをかたちづくるための輪郭としての役割だった線は、次第に、線、それ自体が主役となっていきます。主役となった線は、その後多種多様なバリエーションで展開していきます。画面に塗った絵の具を、鉛筆で引っ掻いた鋭い線の作品、絵の具のチューブを絞りだした柔らかで、立体的な線の作品など、清川泰次は、様々なマチエールの線に挑戦します。そして複雑に絡んでいた線は、時に禁欲的なまでのシンプルな線で構成された作品や、リズミカルな動きのある線へと変化していきます。
本展では、清川泰次の作品から「線」に注目し、初期作品から晩年までの作品、約15点をご紹介します。豊かで、様々な可能性が拡がる線の魅力を、清川泰次の作品を通じて発見いただければ幸いです。
小展示室では、清川泰次が大学の写真部に所属していた頃の、構図などにこだわって撮影していたモノクロ写真も併せてご紹介します。