大滝博子(1958-)氏の創り出す人形の世界は、家族の何気ない日常の一場面を、石塑粘土と古布、縮緬などを使い表情豊かな人形たちで表現しています。描かれる情景は、人々がささえあい思いやる心や、連綿と続く家族の繋がりの素晴らしさを表現し、そこにかもし出される「日常の幸せ」を素直に感じさせ、見る人たちに安らぎや元気を与えてくれます。
大滝氏の作品は、私たちの心の奥に眠っていた「生命の大切さ」「家族愛の素晴らしさ」、そして「本当の幸せ」とは何かを呼び起こさせてくれます。
2011年3月11日。日本人の価値観は大きく変わりました。私たちが望む豊かな暮らしとは何か、本当の幸せとは何か。多くの人たちが未曾有の出来事を前に、今までの経済的に豊かで、何でも手に入る暮らしが永遠に続かないことを身をもって体験し、生き方、暮らし方を見つめ直しはじめたのです。震災によって失われた多くの命、人と人とのつながり、家族の絆…それらがどれほど尊く、お金では手に入らない本当に大切なものだったのか。
本展では、家族の絆、人と人とのつながり、子どもたちの笑顔…。ほほえましく、温かみのある人形たちを通して、作品に込められた作者の想いを届けます。