タイトル等
KyotoSeikaUniv. Textile Work 染色のメチエシリーズ vol.2 蝋染
レジスト
会場
SPACE5 MARONIE
会期
2014-11-11~2014-11-16
開催時間
12:00PM~7:00PM
日 6:00PM
概要
メティエシリーズ第2回は前回の捺染から蝋染になります。
レジストとは防染を意味します。20数年前、ベッツィー・ベンジャミン氏(米・芸術家)が欧米に向けて蝋染の画集を出版された際、過去にその英訳例がなく“WAX RESIST”とされたのが始めかと思われます。諸説ありますが約2500年前インドに端を発したといわれる蝋染は現在世界の中あまり類がなく、日本では奈良時代の正倉に残されたものがあり平安期に立ち消え、明治中頃また忽然とよみがえり現在に至ります。
防染、つまり染まるのを防ぐことによって形が表出する染技法の中で、油性の蝋を使うことは水溶性の染料浸透に対し強く耐えられます。よって幾度もの染め重ねが可能で防染と染めの工程をくりかえすことによって画面の奥へとむかって重層して形を構築することが出来るのです。
一方メティエという言葉は、絵画の世界に於いて良い意味に使われなかった時代があります。今なぜメティエなのか、本当にその技法が表現造形上必然とされるものなのか、激しく変動する時代にあって、この社会に即した技法として蝋染の新しいメティエをみつけるべく、今、京都精華大学テキスタイルの制作現場を学生、研究室員、教員の作品を展示いたします。
河田孝郎 (京都精華大学非常勤講師・染織家)

数年前にインドネシアのバリ島とジャワ島を旅行した。世界遺産ボロブドゥル寺院遺跡群を見学に行った帰りに、現地の染め工房を見学。色鮮やかな鳥や花の美しい文様のジャワ更紗は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのアンティークなものにいいものがあった。それらはインドネシアの蝋染(ろうぞめ)バティックである。蝋染とは防染素材に蝋を用いる染めのことだ。蝋はマスキングの役目をする。
日本では正倉院宝物に蝋染があり、天平時代(7世紀末から8世紀中頃)に遣唐使を通じて、中国から日本にもたらされた染色技法であろう。その技法も奈良時代を過ぎると途絶え、明治末期にインドネシアのバティックの技法を取り入れ再出発。大正時代になって脚光を浴び復活した。
京都精華大学芸術学部素材表現学科テキスタイルコースが企画するメチエシリーズの第二段は「蝋染」である。テキスタイルの技法の中でも、絵画的な表現において自由度が高い。しかし、完成までのプロセスは洋画や日本画といった直接描画ではなく、間接画法である。
融点に達したロウを筆に含ませ布にイメージを描く。染料でその布を染色し、蝋を落として水洗いする。蝋を塗った部分は白く染め抜かれる。この行程を繰り返すことで複雑なイメージが布に定着する。布に染み入る染料が持つ物質的平面性は、近・現代絵画が追い求めてきた絵画の持つ平面性という唯一の特徴を具現化するのに適している。遠近法無視の画面とともに、物質的にも限りなく平面性を強調した絵画が可能なのだ。それは支持体の繊維に染料がからみ定着することで、世界最強の平面性絵画をつくることができるメチエなのだ。
本展では日頃、蝋染に親しんでいない学生たちも蝋染にチャレンジした。フエルトワークやミシンワーク、シルクスクリーンや織りを普段から得意とする学生たちが、今回は蝋染に挑んだ。
技法選択は、身体感覚いわゆる生理的に馴染むか馴染まないかで選んでいる作家も多いと思う。日頃から蝋染に馴染んでいる学生たちと、また他の技法から蝋染に挑むものたち。蝋染の概念を変えるような表現が生まれるか否か、あるいは蝋染における新しい世界が生まれるか。蝋染の自由度の高さから、想像を絶するような表現が展開されることを期待したい。
学部生、卒業生、助手、アシスタント、そして教員の14作家がいちがんとなっての蝋染への試みは、ギャラリーにあらたな空間と出会いの場をもたらすことであろう。
加藤義夫(キュレター/美術評論)
ホームページ
http://www.gallery-maronie.com/next-space5/2769/
会場住所
〒604-8027
京都府京都市中京区河原町通四条上ル塩屋町332
交通案内
[最寄り駅] 阪急河原町駅より徒歩5分
ホームページ
http://www.gallery-maronie.com
京都府京都市中京区河原町通四条上ル塩屋町332
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