《道産子追憶之巻 (どさんこついおくのまき)》は岩橋英遠(1903~99)が75歳の回顧展で発表し、さらに4年かけて描き足した29メートルにも及ぶ長大な日本画で、当館で最も人気の高い作品の一つです。故郷・江部乙(現・滝川)の生家から見まわした風景を絵巻風に描いたもので、右から左へと展開する情景は、日の出から日没への1日の移ろい、冬に始まり冬に終わる1年の移ろいと重ね合わされ、自然と人の営みが郷愁ゆたかに描出されています。
近美コレクション「秋季名品選」では、この《道産子追憶之巻》をはじめ、片岡球子、菊川多賀、砂澤ビッキ、植木茂ら北海道を代表する作家やルオー、キスリング、ヴラマンクといったエコール・ド・パリの作家の作品などをご紹介します。芸術の秋、心ゆくまで名作の数々をご鑑賞ください。