木下満男氏(昭和7~平成8)のコレクションの中から、異国の輝きを放つ金唐革と、更紗を使った粋な煙草入れを展示いたします。
金唐革は、ヨーロッパの宮殿や寺院などの壁や天井に使われていた装飾革で、17世紀半ば、江戸時代にオランダとの貿易によって日本に渡ってきました。
更紗は、インドに起源をもつ木綿の文様染め製品で、影響を受けたアジア、ヨーロッパでも手描きや蝋防染を用いた多色の文様染めが存在しています。
花や果物、天使の文様が施された豪華な金唐革。動物、人、植物が、どこかコミカルな文様になって染められた更紗。普段使いの小物にも気を使った持ち主の洒落っ気と、新しい素材を身近な装身具に取り入れる職人の遊び心に、現代に生きるわたしたちは嫉妬してしまいそうです。
本展覧会をとおして、それぞれの素材と仕立ての妙を味わっていただければ幸いです。