つなぎ美術館は地域が抱える空き家問題に応えながら芸術文化によるまちづくりとコレクションの充実を図るため、優れたアーティストによる地域交流型滞在制作と個展を組み合わせた新事業を企画し、5月には画家の篠塚聖哉を招聘しました。篠塚は海浜地区の高台にある海を望むレジデンスで制作を続けながら月に1度は地区の公共施設やつなぎ美術館のアトリエで地域交流プログラム「夜楽」を開催し、作品づくりの楽しさを住民と共有してきました。誰もいない草原を見たとき、不安に襲われると同時に自分で考え判断する能力を問われているように感じ、そのような力を必要とする現代の状況に希望を見いだしていると篠塚はいいます。これはあらゆる土地での可視化できない体験をも作品へと昇華させてきた篠塚ならではの自問が生み出した自身を制作へ導く動機のひとつなのかもしれません。5月からの4か月に及ぶ滞在制作の成果を披露する本展では約30点のオイルパステルなどで描いた新作のみを展示します。また、滞在中に制作した作品の一部はつなぎ美術館への収蔵も検討します。