埴輪は古墳の上に並べるために作られた、古墳時代独特の焼きものです。筒形の円筒埴輪と、人物や動物や道具の形の形象埴輪の2種類があり、300年以上にもわたって東北から九州に至る広い地域で作られました。はじめは円筒埴輪だけでしたが、やがて形象埴輪が生みだされました。人物埴輪のなかで女の人は巫女のような姿、男の人は武人が多く、動物埴輪は鶏と馬が大半を占めます。道具の埴輪は貴人の日よけの道具、建物、矢の入れ物、盾などがあります。埴輪に形作られたのは、日頃の暮らしにはあまり関係のない物や、特別な役目を担う人たちでした。形象埴輪は何かの儀式や、古墳に葬られた首長の権威を表すと考えられています。
そこで、形象埴輪は何かの儀式や、古墳に葬られた首長の権威を表すと考えられています。現在の古墳は、木々に覆われていて古墳か山か区別がつきませんが、千数百年前に古墳が完成した時は木は生えておらず、表面は土や石敷きでした。当時の人たちは古墳の上に累々と並ぶ埴輪を仰ぎ見て、そこに眠る首長の威光を感じたことでしょう。
今回の企画展では当館蔵品のなかから、円筒埴輪、形象埴輪ともにご覧頂きます。奈良県東大寺山古墳の埴輪や、大阪府仁徳天皇陵(大仙古墳)の埴輪のほか、近畿ではあまり見る機会のない関東地方の形象埴輪も展示します。それぞれの埴輪は、かわいい顔をしていたり大きく立派だったりと個性豊かで、土の人形としても楽しむことができます。
この機会に埴輪について知っていただくとともに、それぞれの埴輪の個性もお楽しみ頂ければ幸いです。また夏休み中の展覧会ですので、子供さんにも楽しんで頂けるコーナーを設置します。多くの方にお越し頂きたいと願っています。