本郷新は、生涯で二度に渡って長い海外旅行に出かけています。
一度目は1952年の暮れから翌年4月にかけてのことでした。戦後、平和運動に力を注いだ本郷は、ウィーン世界平和会議への出席を目的に渡欧、パリ、ウィーン、プラハ、モスクワを訪ねました。
二度目は1956年の4月から7月、アジア・アフリカ文化使節団の一員としてでした。訪問国と日本との交流を目的に、インド、インドネシア、ビルマ、エジプト、ギリシア、イタリア、フランス、オーストリア、ソ連、ウズベク共和国、モンゴル、中国、北朝鮮を歴訪しました。
この二度の旅のあいだ、本郷は異国の風景や出会った人々の姿などを数多くスケッチしています。本展ではその一部をご紹介します。
これらのスケッチからは、初めて目にした風景や、そこで生活する人々の何気ない日常の姿に惹かれ、心をおどらせている彫刻家のまなざしを感じとることができるでしょう。