本展は、「やきもの」と「かご」という異なる分野の二人の作家の作品を「空間」をキーワードにご紹介する展覧会です。
川崎毅(かわさき・つよし/1942~)がつくる陶の「街」は、家のかたちの組み合わせ方次第で、どこかの街並みや浮遊都市、崖の上の家など様々な風景を表します。平面と直線で構成した家形の表情と土の量感が、作品に静かな存在感を与えます。また、ポールや窓、階段や路地は風景に物語性をもたらし、人や動物の気配を感じさせたり、心象風景を思い起こさせたりと、鑑賞を作品空間へと誘います。
関島寿子(せきじま・ひさこ/1944~)の「かご」作品は、実用的な「かご」とは異なり、螺旋を描く縄、蔓や樹皮の絡まりなど、「かご」の構造そのものの美しさを追求した造形です。作品は植物の線がつくる空間で構成されており、その連なりは、編み目や植物の重なり、質感といった細部にまで視線を誘導し、編むという行為と植物素材の多様な魅力を伝えます。
「家のかたちを組み合わせる」、「植物を編む」というそれぞれのテーマが、時間の経過とともに展開していく様をご覧ください。