“青磁”は、中国に起源を持つ緑色を基調とした美しい釉色を特徴とするやきものです。しかし実際の色合いは、生み出された時代や地域により、淡い青色やオリーブ・グリーン、さらには淡い黄色などさまざまで、一言で語ることのできないほどの広がりを見せています。日本には12世紀頃から請来し、茶の湯の発達のなかで日本人の美意識によって選び出され大切にされてきました。本展では、時代を超えて多くの人々を魅了してやまない“青磁”に焦点を絞り、歴史的な名品から現代作家の最新作までを3部構成で紹介し、その魅力に迫ります。
第1部では、日本に伝わった中国・南宋時代の官窯や龍泉窯の名品を紹介し、陶芸家が手本とした青磁の原点を探ります。続く第2部では、器形や色合いの美しさに魅了され、その魅力に少しでも近づこうと努力を重ね、ついには近代陶芸史に名を残すまでになった板谷波山や初代諏訪蘇山、岡部嶺男など11名の物故作家による個性豊かな作品を展示します。なかでも、青磁における表現の可能性を大きく発展させた岡部嶺男の作品については点数を増やしてその功績を検証します。そして第3部では、先達たちから受け継いだ技術と精神を現代に生かす人間国宝の中島宏から若手作家までの10名の作品により、その奥深さとともに、“青磁”というやきものに込められた陶芸家の想いを探ります。