小野和則(1941-)は世界を旅しながら「場・人・時」との関わりをテーマに創作活動を行なっている美術家です。1971年から80年までイタリア・ベルガモを拠点にし、数多くの個展やグループ展で作品を発表。80年代初頭から生活と創作活動の拠点を岡山に移し、91年からは愛車のPAJEROで全国を旅するシリーズ「日本放浪の旅」を開始。場所や住所や境界といったものに一切捉われず、白紙の状態で旅をしていくもので、終生続いていくであろう小野にとってのライフワークといえる行為です。2008年からは岡山県新見市大佐に拠点を移して以降も旅を通した実体験からくる広大な視野と多角的な視点を持った創作活動は現在も継続されています。本展は、小野にとって岡山では約10年振りの新作展になります。
東日本大震災で被害を受けた東北の地を旅し、その場で過ごした時間と空間、空気感等…直接現場に身を置き、独自の視点の照明を当てていくことで生みだされた作品群は、私たちが何気なく過ごしている日常的な生活パターンを、今一度振り返らせ、考察するヒントを与えるタイミングになるかもしれません。