2014年春季のコレクション展は、同時開催の「洲之内徹の現代画廊」展に関連した企画です。小説家であり美術評論家でもあった洲之内は、銀座で「現代画廊」を経営するかたわら、雑誌『芸術新潮』にエッセイを連載し、自らの審美眼に適う作家や作品を紹介し続けました。「きまぐれ美術館」と題されたこのエッセイには、新潟にゆかりの作家や当館所蔵品の作家たちがたびたび登場しています。また自身の画廊でも、こうした作家たちを紹介する個展を数多く開きました。本展では、企画展示で紹介しきれなかった画家や作品をその接点とともにご紹介します。
新潟の農村風景を描き、「北越に埋もれた鬼才」として発掘された佐藤哲三。1980年代、毎年画廊で個展が開かれた峰村リツ子。木版画の柔らかい感性が注目された新発田出身の林美紀子。素描によって洲之内を魅了した砂井正七。洲之内に絵の見方を教えた原精一。彼らについて洲之内が記した闊達な文章とあわせてご覧ください。
洲之内は画商でありながら、所有欲の旺盛な収集家でもありました。彼が愛した作品には、ただ一人の部屋でじっくりと眺めたくなるような、親密さや濃密さがあります。そんな「個室的小品」を当館所蔵品より選び、洲之内へのオマージュとし、「気まぐれ拾遺」の序章とします。
2013年度の新収蔵品、修復作品のご紹介とあわせて、ごゆっくりとお楽しみください。